ビデオテープに記録された映像が消滅の危機にある磁気テープ「2025年問題」。文化遺産でもある映像記録を後世に伝えるため、三重県四日市市立博物館がデジタルデータ化に取り組んでいる。だが、立ちはだかるのは、すでに製造や保守サービスが終了している再生機器の確保の難しさだ。
モノクロでパソコン画面に映し出された1934(昭和9)年の四日市祭。「大入道」や、からくり人形山車の「岩戸山」、戦災で失われた弁慶と牛若丸のねりもの――。戦前の貴重な映像が記録されたビデオテープを、再生機器(ビデオデッキ)で再生し、パソコンに取り込んでデジタル化する作業が、同館の一室で進められていた。
「もとは8ミリフィルムで撮影されていた映像を、数十年前にビデオテープに記録し直したもの。戦前の四日市祭のにぎやかさを伝える資料だ」と、学芸員の森拓也さんは話す。デジタル化したデータは、CDやDVDで保存する。
同館には、93年の開館以降…